憲法と君たち  佐藤 功

復刻新装版 憲法と君たち

復刻新装版 憲法と君たち

 この「憲法と君たち」が書かれたのは一九五五年、私が八歳の時です。あの頃は、憲法記念日がとても楽しみでした。父がラジオや新聞に出て、誇らしかったし、出先から帰宅する父は必ず、何かおみやげを買ってきてくれました。母が用意する夕食も、ちらし寿司など、ふだんよりも豪華なものでした。
 我が家では五月五日のこどもの日よりも、五月三日の憲法記念日のほうが、大きな意味のある祝日だったのです。

 四 憲法を守るということ 2 多数決と選挙
 ..多数決というやりかたが悪用されるとすれば、その結果つくられる法律が憲法に反するものであるかどうかとは関係なく、こういう国会のやりかたが、正しい民主主義を定めている憲法をやぶっているものだということになる。つまり、民主主義の政治を定めたはずの憲法が、むかしのような専制政治家によってではなく、おもて向きは国民の代表だという形をとっている多数党によってやぶられてしまうということになる。ここのところを、君たちもよくおぼえていてくれたまえ。


憲法公布70年 よみがえった「幻の本」
https://www.jiji.com/jc/v4?id=201611kpk700001